谷川俊太郎の『さよならは仮のことば』を読み終えた。「口答え」「ビリイ・ザ・キッド」「大人の時間」「大小」「これが私の優しさです」「朝のリレー」「生物」「迷子の満足」「やわらかいいのち 3」「その日――August 6」「未来へ」あたりが特に好きでした。

小説よりも抽象的で感覚的なので、どうしても意味を掴もうとしてしまったんだけど、本当は掴むんじゃなくて、どれかの詩が引っかかるのを待つ、というのが正しい読み方なのかな、と思った。

詩集を読むのはこれが2冊目なんだけど、言葉が少ない分、作者の世界観や考えがそこかしこにびっちりと張り巡らされている感じがして、いつも不思議な読書体験になる。分かるようで分からない、分からないようで分かる、という感覚の連続だった。詩って難しい。難しかったけど、一生持っておいて折に触れて読むと、その時々によって味わいも理解も変わっているであろうことが想像できる作品だとも思う。読み終えた本は軒並み売る主義だが、これはしばらく本棚に置くことにした。