フェアでいたい

メンタルの調子良くない割にあんなに文章書けたのは、私のタイピング速度がそれなりに速いのと、いい感じのワイヤレスキーボードを父に買ってもらったからだと思う。

前々からカチャカチャ音のするワイヤレスキーボードが欲しくて、Amazonを眺めたり電機屋を徘徊したりしていたのだけど、やっぱり画面越しに見るより、実際に触ってみるほかなかろうということで、電機屋で触った中で一番打鍵感の良かったワイヤレスキーボードを購入の第一候補に入れた。しかしまあ、それなりに高い。他のキーボードには5000円、安いものでは2000円前後のものもあったのに、自分が気に入ったのは一万するやつだった。どうするか迷っていると、一緒に来ていた父が「早めの誕生日プレゼントで買ってあげようか」と言ってくれた。人に奢られるのはあまり得意ではないが、喜ぶと父も気分良く買ってくれるのと、こういうときの父は譲らないので、喜んでいるふりをしてレジに向かった。しかし、すでに働き出している身である以上、やはり気が引けて、レジ直前で「自分で買う」と言ったが、父は「いいから」と言って、結局父に奢られてしまった。しかも、もはや早めの誕生日プレゼントという体ですらなくていいらしく、普通に父からのプレゼントになってしまった。甘やかされすぎている。

人の金で行く焼肉はうまいとよく聞くけど、個人的にあまりそうは思えない。焼肉代を稼ぐのに自分が労働でどれだけエネルギーを使うかをよく分かっているので、なんというか、とにかく申し訳なさと情けなさが先に来る。奢らせてしまった、人が働いて得たお金なのに、みたいな。奢ることが相手も了承の上なら素直に奢られとけばいいし、中には奢るのが楽しいという人もいるらしい。なのにその気持ちやお金を心からは受け取りきれず葛藤しながら礼を言うたびに、めんどくさい奴だなと自分でも思う。だから収入差があっても上下関係があっても、なるべく割り勘できた方が気分はいい。

運転もそう。服用している薬の処方箋には車の運転を避けるように書いてあるが、正直そこにあるような副作用は別にないので、運転してよくね? とずっと思っている。ペーパー歴が1年以上になった今、これ以上ペーパー歴が長くなることは避けたい。いつも乗せてもらってばかりで、家族にも友人たちにも申し訳なさの極みで縮みそう。早く彼らを乗せたり送ってあげたりできるようになりたい。フェアでいたい。ただ運転は怖い。

脱線してしまった。父に買ってもらったキーボードはやっぱり高いだけあって、今まで使ったことのあるどのワイヤレスキーボードより打ち心地がよく、音もタイムラグのなさにも満足感がある。ただやっぱり、買ってもらったからにはきちんと使い倒さないとな、みたいな余計な気負いが生まれるのが嫌ではある。奢ってもらうことを気持ちよく受け入れられる性格に育ちたかったな。