初めて好きになった洋楽

子どものころ、自分の好きな曲以外に触れるタイミングといえば、もっぱら車の中だった。父も音楽が好きで、チェッカーズやTUBEはカーステレオで覚えた。

小学生くらいのころだったと思うが、車が買い替わったときにその車のイメージCDをメーカーからもらった。洋楽が6曲ほど入ったミニアルバムだった。そのCDはすぐにカーステレオに録音され、後部座席にいた私は、洋楽などほとんど聴いたこともないのにちょっとわくわくしながら耳をそばだてた。

1曲目はわりと好き、2曲目はそんなに好きじゃない、と思っていると、3曲目が流れ出した。ピアノの静かなイントロが夜の高速道路と異様なくらいにマッチしていたのを覚えている。ピーター・シンコッティの『Goodbye Philadelphia』という曲だった。

その曲は私にとってとても魅力的だった。Aメロの途中からはドラムが入ってくるのだけど、まるで映画の主題歌のように壮大になる。メロディーは切なく、ドラマチック。2番はまるで色褪せた街中を歩いているような感じ。そして何より、Cメロからラスサビへ向かう部分の構成にしびれた。私は音楽を聴くとぼんやりとした映像が浮かんでくるタイプの人なんだけど、この曲はものすごくいろんなイメージを想起させた。もうほとんど夜に近い夕暮れの河原、アメリカの石造りの街並み、ドラムに合わせていろんな場面がカットバックした。とにかくこの曲が好きだ!と思った。

英語の意味は全然分かんなかったけど、とにかく聴いて歌真似し、とりあえず歌えるようにはなった。ただ、実際に歌詞やその意味を調べたのはずっと後だった。ちなみに、めちゃめちゃフィラデルフィアへの愛を語ってる歌っぽいです。

この曲がずっと好きで、それと大学生のときにハマったドラマの『コールドケース 迷宮事件簿』の舞台がフィラデルフィア州だったので、フィラデルフィアには浅からぬ縁を感じている。曲とドラマのせいでけっこう寒々しい町のイメージが強いんだけど、いつか行ってみたいと思っている。

『Goodbye Philadelphia』はなんとカラオケにあるので、カラオケに行くと2回に1回くらいの頻度で歌う。最高だね。

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