二人三脚

かねてから気になっていた韓国料理屋さんに行ってみた。チーズボールやらヤンニョムチキンやら、大食い動画とかでよく見かける食べ物を食べられそうでワクワクしていた。不思議なもので、人が食べているのを見ると自分もこれくらい食べられそうだなと錯覚してしまう。“大食い”って書いてあるのに。胃が小さいんだけど、食べるまで実感がないのでその事実をないものとして扱ってしまう。

実際、錯覚だった。初めに届けられたチーズボール、おいしかったけどしっかりと揚げ物だったので胃をパンチされてるみたいだった。あと謎の甘じょっぱい粉がかかっていて、中毒性を生みそうな独特の味がした。

次に届いたチキンもまあ量が多い。こちらもやっぱり独特な香辛料の味がしつつ、おいしい。当たり前のことなのかもしれないが、料理だけで「日本のやつじゃないな」って思うの、面白いかもしれない。

全部おいしかったけど、主に脂でボディブロー食らって、その後2時間くらい気分が悪かった。

この1年で身体と気持ちの足並みが揃わないことが増えた。私は食べたいと思っているのに、身体が想定よりずっと早くギブアップしたり、頑張りたいときに限って体調を崩したりする。何がお望みなんだい、身体よ。私はどうしたらいいんだ。今年の夏は主にこのことでずっと歯がゆさを感じていた。身体の方が主導権が強い、というか、身体の訴えを無視したらろくなことにならなさそうなので、私が譲るしかない。二人三脚もっと頑張ってほしい。

 

ところで、よく行く無印良品には本がたくさん並べてある。売り物なんだけど、カバーも何にもしてないし、くつろぐための椅子やテーブルもあるから、図書館みたい。

半年くらい本が読めなくなっていた。特に小説が厳しかった。創作とはいえ、作者の考えが投影されている部分に違和感が生まれると、もうその先を読むのが嫌になってしまうことが多くなった。最後に読んだのは海外の小説で、昔のやつだったからか、「男は○○だ」「女というものは××である」とか、その手の描写がとことん苦手になって、読みたくなくなった。タイトルに魅かれて自分で買ったくせに、作者には勝手な話で申し訳ないけど。

嫌気が差して現代の作家の詩集を読んだ。小説よりは受け付けたけど、微妙だった。

今までずっと小説が好きだったから、なんだかショックだった。私はもうしばらく本が読めないのかな、とそれが悲しかった。本を読むときの没入感、新しいことを静かに知っていく感覚、あれを失いかけていると思うと本当に悲しかった。

でも、そうでもなかった。薄くてシンプルな装丁が気に入って、絵本作家のエッセイを手に取ったんだけど、普通に読めた。その人の考えが赤裸々に書いてある、っていう前提を持てたのがよかったのかもしれない。

あと、絵本作家っていうどことなくファンシーな肩書きに反して、著者がすごく「人間」だったので、それもよかった。エッセイなら読める。小さな自信になった。